家を建てたり買ったりするときには、税制面で様々な優遇措置を受けられる場合があります。
ところがその家が「認定住宅」だった場合、特別な制度を利用することができたり、あるいは普通の家よりも有利な条件で、優遇措置を受けられることがあります。
では「認定住宅」とは、どのような家なのでしょうか?
認定住宅とは
まず「認定住宅」には、「認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」があります。
認定長期優良住宅
長期優良住宅とは、長い期間に渡って良好な状態で使用できるように作られた、優良な住宅のこととされています。
所管行政庁に建築計画などを申請し、法律で定められた認定基準に適合しているという認定を受けると、認定長期優良住宅として、税制の優遇措置の対象となることがあります。
欧米諸国に比べて、日本の住宅は短命だと言われています。長持ちする家を建て、それらを長く大事に使うことで、環境への負担を減らすことができ、持続可能な社会を作ることにつながるとされています。
認定長期優良住宅として認められるためには、一定の耐震性や耐久性に加え、省エネルギー性や、一定以上の面積(一戸建ての場合は75㎡以上、また少なくとも1の階の床面積が40㎡以上)があることなどの要件を満たす必要があります。
要件や手続き等については、国土交通省のウェブサイトなどで確認することができます。
認定長期優良住宅に関する法令などについてのウェブページ(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html
認定低炭素住宅
二酸化炭素の排出量を削減するべく配慮のなされた住宅を、低炭素住宅と言います。
長期優良住宅と同じく、所管行政庁に申請をして認定を受けることで、認定低炭素住宅として、税制の優遇措置を受けられることがあります。
認定低炭素住宅と認められるためには、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に規定される「市街化区域内等」にある建物であること、省エネ法の省エネ基準と比べて一次エネルギー消費量が10%以上下回っていること、などの要件を満たす必要があります。
なお、省エネ基準以外にもクリアすべき要件のある認定長期優良住宅と比べると、認定低炭素住宅として認定を受ける方が、ハードルが低いと言われています。
認定低炭素住宅を建てた際も、認定長期優良住宅と同じく税制面の優遇措置を受けられる場合があります(認定長期優良住宅のみに適用されるものもありますので、ご留意ください)。
認定長期優良住宅の認定を受けたいけれど、要件を満たすのが難しいという場合は、認定低炭素住宅として認定を受けることを検討してみてもいいかもしれません。
認定低炭素住宅に関する法令などについてのウェブページ(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000065.html
認定住宅として認められるためには、所管行政庁に必要書類を添えて申請する必要があります。どの所管行政庁に申請すればいいかは、その住宅の建設地によって変わってきます。
認定住宅にするためには、建築等の着工前に認定申請をし、認定を受けた後に着工することになります。たとえば家を建て始めてから「認定長期優良住宅にしたい」と思ったとしても、残念ながら間に合わないということになります。
申請にあたって、所管行政庁が「登録住宅性能評価機関の技術的審査を活用する」としている場合には、申請の前に「登録住宅性能評価機関」に、技術的審査を依頼することになります。
登録住宅性能評価機関とは、法律に基づいて住宅性能評価を行う、国土交通大臣の登録を受けた機関のこととされています。
この登録住宅性能評価機関から交付される適合証を添えて、所管行政庁に認定申請をすることになります。申請には専門的な知識が必要になるので、工務店や設計者、ハウスメーカーなどに相談された方がいいでしょう。
また前述の通り、着工前に申請しなければならないことや、技術的審査を依頼する必要があることから、認定住宅を希望される方は、早めに工務店などに相談されることをおすすめします。
このように、申請のために手間と時間がかかること、また申請にあたって諸費用が発生することは、認定住宅を建てる際のデメリットと言えるかもしれません。
また、認定住宅の条件をクリアできるような家を建てるための費用がかさむ、という点についても、気になる方がおられるかもしれません。もっとも、長期的に快適に住める家や、省エネ性に優れた家を持つことは、メリットにもつながりますので、この点は一概にデメリットとは言えないでしょう。
また、認定住宅に関する税制面での優遇措置を利用したいとお考えの場合は、その都度最新の情報をチェックすることをおすすめいたします。
優遇措置には期限があるものが多く、また毎年の税制改正によって何らかの変更がなされる場合もあります。いざ利用しようと思ったら、期限が切れていたり、重要な要件が変更されたりしている、などということもあるかもしれません。
官公庁のウェブサイトを確認するほか、税務署の相談窓口などを利用してみるのもいいでしょう。