家を建てることを検討されている方の中には、「住宅ローン控除」という言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?もしくは「住宅ローン減税」という言い方かもしれません。
この制度は、正式には「住宅借入金等特別控除」というものです。
家を建てる時、銀行などで住宅ローンを組むことは珍しいことではありません。そのようなローンを利用した場合に、一定の税額控除を受けられる場合があります。今回の記事ではこの「住宅ローン控除」についての基礎を解説いたします。
住宅ローン控除の金額は?
控除される金額は、その年の住宅ローンの年末残高、または住宅の取得対価のうちどちらか少ない方に、控除率をかけた金額とされています。
平成26年4月1日から平成29年12月31日までの間に家を建てて入居した場合は、控除率は1%、控除期間は10年で、最大控除額は各年につき40万円(10年で400万円)とされています。
なお、所得税から控除しきれない場合は、翌年分の住民税からも控除することができます。平成26年4月1日から平成29年12月31日までの間に入居した場合、住民税からの控除上限額は、一年につき13.65万円とされています。
なお、建てる家が「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」である場合は、各年の最大控除額が40万円から50万円になります。
ちなみに当然といえば当然ですが、払った所得税等の金額以上のお金は戻ってきませんのでご注意ください。
ちなみに、平成26年4月1日から平成29年12月31日までの間に入居した場合であっても、その住宅の取得が「特定取得」に該当しない場合は、平成26年3月31日までの措置が適用される場合があります。
「特定取得」とは、住宅の取得等の対価または費用に含まれる消費税率等の税率が、8%または10%である場合における住宅等の取得を指します。
たとえば、経過措置によって5%の消費税が適用されているケースなどが、「特定取得に該当しない場合」に当たります。
その場合は、各年の最大控除額が20万円になるなどの違いがあります。
住宅ローン控除を受ける条件は?
適用期間内に入居して、住宅ローンさえ組んでいれば、どんな方でも住宅ローン控除を利用できるというわけではありません。この制度が適用されるためには、いくつかの条件に当てはまっていることが必要です。
主な条件としては、「床面積が50㎡以上であること」や、「ローンの償還期間が10年以上であること」などが挙げられます。
また、住宅ローン控除を利用する人自身についても、「控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること」や、「新築または取得の日から6ヵ月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」などの条件があります。
住宅ローン控除を利用する際は、決められた手続きを行うことも必要です。
入居した翌年に確定申告をし、その際に税務署に必要書類を提出することになります。必要書類の具体的な内容については、別の記事でご紹介しています。
住宅ローン控除を利用するためには、サラリーマンなどの収入が給与所得しかない人も、確定申告をする必要があります。普段は会社で年末調整を受けられるので、確定申告のことはあまり考えたことがない、という方は、うっかり忘れてしまわないよう、注意された方がいいかもしれません。
ただし二年目からは、勤務先にローンの残高証明書などを提出することで、年末調整で控除を受けられるようになります。
これから家を建てることをお考えの方の中には、「平成29年末までに家を建てて住むのは、ちょっと厳しいかな」と感じている方もおられるかもしれません。
ところが平成27年度の税制改正で、この適用期限が平成31年6月30日までに延長されることになりました。これまでの適用期限よりも1年半延びたことになります。
この改正によって、計画を立てやすくなった、余裕を持って資金調達などができるようになった、という方もおられるかもしれません。
ちなみにこの制度は、家を建てる時だけではなく、新築や中古の家を買う時や、家を増改築する時にも利用できる場合があります。
各々クリアすべき条件がありますので、利用したい場合は、まずこれらの条件について確認されるといいでしょう。
なお、住宅に関連するものに関わらず、税制は毎年何かしらの改正が行われます。その内容については、適宜チェックしていきたいところです。
情報の確実さを考慮するなら、やはり官公庁のウェブサイトを利用するのがいいでしょう。国税庁のほか、国土交通省などのウェブサイトでも、住宅ローン控除などの住宅に関する税制について知ることができます。
●国土交通省の住宅税制についてのウェブページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/zeisei_index2.html
また、毎年の税制改正の中身を早く知りたい!という方は、毎年12月半ば頃に発表される「税制改正の大綱」をチェックされるといいでしょう。「税制改正の大綱」は、財務省のウェブサイトなどで見ることができます。
●財務省
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/
このようなウェブサイトなどから情報を得ることも大切ですが、税務署の相談窓口を利用することもまた重要なことです。
ちゃんと調べたつもりでも、わかりにくい言葉があったり、ちょっとした思い違いをしていたりするかもしれません。いざ申告をしてみたら条件に当てはまっておらず、控除を受けられない、ということになるのは避けたいものです。
最終更新日:2015年3月23日