中古住宅を購入する時の優遇税制

マイホームを手に入れる方法は、家を建てたり、新築物件を購入したりすることばかりではありません。中古の家を買うこともまた、ひとつの手段です。

中古住宅を購入するメリットは、何と言っても費用を抑えられるということでしょう。購入後のリフォーム費用を含めても、新築住宅にくらべれば安く済むことが多いと言われています。

また、購入後の価格の下落が比較的穏やかで、資産価値の目減りが少ないというメリットがあるとも言われます。
昨今は、中古住宅に包括的なリフォームを施し、本来のもの以上の性能を持たせる「リノベーション」という言葉を聞くことも多くなりました。既存の建物であってもリフォームを行うことで、注文住宅に負けないような「理想の住まい」を手に入れることができるかもしれません。

そこで知っておきたいのが、新築の家を建てたり買ったりした場合だけでなく、中古住宅を購入した際にも、利用できる税制の優遇制度があります。制度そのものは、新築物件を手に入れた場合に使えるものと同じものが多いのですが、満たすべき条件などが違う場合がありますので、注意が必要です。

中古住宅の優遇税制

reformzeisei

不動産取得税

家や土地などの不動産を買ったり、家を建てたりしたときなどにかかる地方税です。課税標準である固定資産税評価額に税率をかけたものが、納めるべき不動産取得税の税額になります。
この不動産取得税については、いくつかの軽減措置があります。

まず、土地および住宅を購入した場合の税率は、本則では4%とされていますが、平成30年3月31日までは3%の軽減税率が適用されることになっています。

加えて、住宅の課税標準から一定の金額を控除することができます。
控除額は購入する住宅が新築された日によって違います。たとえば新築日が1997年4月1日以降である場合は、1200万円を控除できるとされています。
この制度については、課税床面積が50㎡以上240㎡以下であることや、一定の耐震基準を満たしていることなど、様々な要件が設けられています。

土地を購入した場合にも適用される軽減措置があります。
平成30年3月31日までに宅地を購入した場合は、その課税標準を1/2とする特例が設けられています。
また、算出された宅地に関する不動産取得税から、
・45000円
・(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の床面積×2(※))×3%
(※)200㎡が限度とされています
以上のうち、いずれか多い金額を控除することができます。ただしこの軽減措置を利用するためには、その土地に建っている住宅が、上記の一定額を控除できる特例を利用するための要件を満たしている必要があります。
また、土地を先行取得する場合は、1年以上にその土地に建っている建物を取得することが、この制度を利用するための要件とされています。反対に建物を先に取得した場合には、1年以内にその建物が建っている土地を取得する必要があるとされています。

なお、地方税である不動産取得税の詳細については、各都道府県のウェブサイトなどをご確認ください。

印紙税

土地や家を買うときや、住宅ローンを組んだ時などに契約書を交わすことになりますが、その際にかかることがあるのが印紙税です。
この印紙税についても、軽減措置が設けられています。平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成された「不動産譲渡契約書」と「建設工事請負契約書」に関しては、本則よりも低い税額が適用されることになっています。

印紙税の軽減措置に関する国税庁のウェブページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7108.htm

印紙税の一覧表(第1号文書から第4号文書まで)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7140.htm

登録免許税

登記をする際には、登録免許税がかかります。
中古住宅を購入する場合には、所有権移転登記をする必要があります。また住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記が必要になることもあります。

まず、土地の売買によって所有権移転登記を行った場合は、本則では2%の税率がかかることになっています。しかし平成29年3月31日までは、この税率が1.5%に軽減されることになっています。
建物の所有権移転登記を行った場合にも、利用できる軽減措置があります。平成29年3月31日までに売買によって住宅用家屋を取得し、入居した場合には、本則では2%のところ、0.3%の軽減税率が適用されることになっています。
また、宅地建物取引業者によって一定の増改築がされた住宅の所有権移転登記については、0.1%の軽減税率が適用されます。

住宅ローンのための抵当権の設定登記についても、平成29年3月31日までの間に住宅を取得し、入居した場合は、本則では0.4%のところ、0.1%の軽減税率が適用されることになっています。

これらの制度を利用するためには、取得後1年以内に登記を行うことなど、一定の要件を満たしている必要があります。必要書類などもあるので、国税庁のウェブサイトなどで詳細を確認されることをおすすめいたします。

登録免許税のあらましに関する国税庁のウェブページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7190.htm

登録免許税の税額表
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンを利用して家を建てたり、購入したりした場合などに、一定の条件を満たしていれば、住宅ローンの残高にもとづいた金額を所得税額から控除することができます。
取得した住宅の床面積が50㎡以上であることなど、様々な要件がありますので、利用したいとお考えの方は、ご自分がそれらの条件を満たしているかどうか、よく確認される必要があるでしょう。

なお、平成26年4月1日から平成29年12月31日までの間に、取得した家に住み始めた場合は、最大10年間にわたって年末残高等に1%をかけた金額(一年に最大40万円まで)を、所得税額から控除することができるとされています。ただし、消費税等が8%または10%の税率で課されていなかった場合には、一年に控除できる限度額が20万円となります。

この制度を利用するためには、給与所得者であっても確定申告をする必要があります。ただし2年目からは、会社に必要書類を提出することで年末調整をしてもらえます。

住宅ローン控除に関する細かい要件などについては、国税庁のウェブサイトなどで確認することができます。
中古住宅を取得した時の住宅ローン控除に関する国税庁のウェブページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1214.htm

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

マイホーム取得のために、親などから資金援助を受ける予定のある方は、ぜひとも知っておきたい制度です。
通常、「暦年贈与」を選択している場合の一年間の贈与税の基礎控除額は、110万円とされています。これを超える分の贈与については、贈与税を申告し、納める必要があります。
しかし親や祖父母といった「直系尊属」から、マイホーム資金の援助を受けた場合、その価額が110万円を超えていても、ある程度までは贈与税がかからない場合があります。

この制度を利用する際の贈与税の非課税限度額は、住宅等を取得するための契約をする時期や、消費税率、取得する住宅が一定の省エネ性や耐震性などを備えているか、ということによって変わってきます。
たとえば平成27年12月までに、一定の省エネ性などの条件を満たした家を購入する契約を結んだ場合の非課税限度額は、1500万円とされています。通常の基礎控除額である110万円に加えて、1610万円まで贈与税がかからないことになります。
なお、この制度の適用期限は平成31年6月30日までとされています(平成27年2月現在)。

この制度を利用するためには、贈与を受けた年の所得金額が2000万円以下であることなど、いくつかの要件を満たしている必要があります。
また、特例を利用することで贈与税がかからなくなる場合にも、贈与税の申告をしなければならないのでご留意ください。
この制度に関する国税庁ウェブページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm

以上ふたつの制度は、家や土地を買ったり家を建てたりしたときだけではなく、一定の増改築をする際にも利用できることがあります。
中古住宅を手に入れた際、より快適に住めるようにリフォームをするということは、珍しいことではありません。そのリフォームが大規模なものになればなるほど、当然そのための費用もかさんでしまいますが、このような制度を知っておくことで、費用面での負担を減らすことができるかもしれません。
リフォームの内容など、一定の条件を満たす必要がありますので、詳細については国税庁のウェブサイトなどで確認されるといいでしょう。

また、これらのような税制面の優遇制度を利用したい場合は、購入する中古住宅の築年数に注意した方がいいと言われることが多いようです。
軽減税率や税額控除などが適用されるための要件として、「耐火建築物は25年以内、それ以外は20年以内に建築されたものであること」といった文面を見かけることが多くあります。建物の築年数が、特例を利用できるかどうかの境目となることがあるのです。
登録免許税や不動産取得税、住宅ローン控除などの制度について、このような要件が設けられています。
なお、築20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)という要件に当てはまらない物件であっても、一定の耐震基準をクリアしているなどの要件を満たすことで、適用を受けられる場合があります。

なお、税法は毎年何かしらの改正があります。ここにご紹介した内容についても、年度改正などによって変更になる可能性があります。
税制の特例などを利用したいとお考えの場合は、国税庁のウェブサイトなどで最新の情報を確認するほか、専門機関の相談窓口や税理士などの専門家に相談するなどして、確実にその制度が使えるかどうかなどについて、よく確認された方がいいでしょう。
また、毎年の改正についていち早く知りたいという場合は、財務省のウェブサイトなどで「税制改正の大綱」をご覧になるといいでしょう。

国税庁のウェブサイト
https://www.nta.go.jp/index.htm

各年度別の「税制改正の大綱」(財務省のウェブサイト)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/

スポンサーリンク
この記事は編集チームが作成しました。
公開日:2015年3月6日