「地直し(じなおし)って、何ですか?それは、必要ですか?」と質問されることがあります。
答えは、「布目を整えることです。そして必要です。」
昔から、洋裁を習うとき、縫い方より先に学ぶことです。地直しをしなければ、何が困るのでしょうか?完成した後、手入れのために洗濯したら、歪んじゃった、縮んでしまった。なんてことになるのです。
これでは、せっかく作ったものが無駄になってしまいます。地直しは、歪んだ地の目をただし、水通しによって、縫製の前に縮むものは縮ませて取り組む作業です。
また、生地の色落ちの確認もできます。現在の国産品の生地では、あまりないですが、すごく昔の生地、海外の生地などは色落ち、縮みの激しいものがあります。こすれただけで、色移りする事もあるものもあります。そういう生地は、魅力はありますが差し障りの無いところで使いましょう。
知り合いの個人でお仕立てをしている方は、高級な生地(着分数十万円)の場合、有名クリーニング店に地直しに出す場合もありました。
生地によっては受け付けてくれない場合、生地より費用がかかる場合があります。家で楽しむハンドメイド生地などは、自宅の作業で十分です。
この回では、よく使う綿、綿麻生地の地直しについてご案内します。
地の目の通し方
大体生地は、まっすぐにカットされていないので、下の図のようになっていると考えてください。
最初に、布の端から横糸を抜いてみましょう。ただ、まっすぐに直したところから裁断になりますので、柄の方向をみて、生地の横の織り糸を抜く「辺」を決めましょう。横糸が抜きにくい場合は、まち針の針先などを使いましょう。
抜いた織り糸を案内線にして、カットします。
これは地の目を整える大事な作業です。先染めのチェック(先染め:染めた糸で柄を織り上げた生地)などは、
チェックのラインに沿ってカットします。
この場合、両側耳以外の片側1箇所だけでOKです。経験上、激安の生地ほど歪みが激しいです。
水通しのやり方
次に「水通し」という作業をします。とても簡単です。中表(柄でいえばはっきりしたほう、つまり表を内側にすること)に畳んで、水につけるだけ。
水の量は、十分浸る量にしてください。浸す時間は、綿で1時間程度、麻で8時間程度です。(私は寝る前につけて翌日やります)
時間の差の理由は、麻は綿より縮みが激しいからです。このときに、色が出るか、色落ちするか確認できます。色が出る場合は、落ちるところまで何度も水を替えて、色を落とします。
ゆがみを出さないため洗濯機で脱水はNGです。ぎゅーっと手でしぼるのもNGです。捨てられる限り水を捨てて、容器ごとベランダに持ち込みましょう。
色移りを避けるために、できたら一種類づつ行うのがお勧めです。できたら、晴天、曇りの日に。水をつける作業から、ベランダで行うのをお勧めします。絞らず干すので、ベランダはびちゃびちゃになります。室内から布+水入りバケツを運ぶのは大変です。
■地直しのやり方■
できたら生乾き状態で、アイロンで地の目を整えます。順番がありますので、守ってください。アイロンは、斜めに向かってかけないでください。アイロンをかける前に、生地の耳が引きつっている場合は、耳の幅の範囲で、切り込みを入れてください。
(生地の耳:生地の横両端 工程上、規則的に穴が空いている場合が多いです。)
最初に地の目を通した側、生地は裏側からアイロンをかけます。表からかける場合は必ずあて布(綿生地のハンカチでもOKです)をしてください。アイロンは地の目を通して直角にした角からはじめます。
直角になるように、整えます。直角は、お手持ちの直角の紙などを使って確認してください。あとは、ゆがみに気をつけて全体にアイロンをかけてください。
大変ですが、この作業を省けませんので、頑張ってやりましょう。